What a wonderful time! in 維摩会春秋館 (維摩会春秋館で過ごす素晴らしい時)NO19
I was called!
私は呼ばれた!
夜中に瞑想をしていました。
いつもなら、スーッと
穏やかな気持ちになり
集中していくことが
出来るのですが
その時に限ってどうも
落ち着きません
胸騒ぎがして
いてもたっても
いられなくなりました
どうしたんだろう!
思い浮かんだのは
実家に置き去りにしてきた
思い出のアルバムでした
実家には
高齢の父が自営業を営み
一人で住んでいましたが
弟夫婦が同居することになり
建て替えをすることに
なったんです
それで一時的に転居することに
なりました
実家に置いてあった
思い出の品々を全部
持ってくることは
出来ませんでした
アルバムは一冊だけ
持ってきました
それ以外の
子供時代や
大学時代の思い出や
ヨーロッパや
カナダやアメリカなどを
旅行した思い出のアルバムは
1ページ1ページ
ページをめくって
お別れをしました
名残惜しかったのですが
それをそのまま
置いてきてしまったので
突然気になりました
個人情報だし
そのままきちんと
全部捨ててくれるだろうか
もし悪用されたら
どうしようと
思いました
自分のいい加減さに
うんざりしました
とても気分が悪くなってしまい
瞑想どころでは
なくなってしまいました
情けない!
こんなことで平静を
失ってしまうなんて!
もう実家は取り壊しが
始まっていると思いました
それはその日
父を病院に連れていくときに
実家の前を通りかかったら
ガスの工事をしていたからです
明日は実家に行って
確認しようと思い
何とか眠りにつきました
仕事が終わってから
実家に向かいました
実家の前を通りかかると
シャッターが下りていましたが
2階は窓も外れていて
むきだしになっていました
そこでそのまま行けば入れたのですが
その時は
シャッターの鍵がないと入れない
と思い込み
父から鍵を借りようと
弟夫婦と父が仮住まいしている
マンションに向かいました
到着すると
弟から
シャッターの鍵は開いている
でも電気もガスもつかないよ
すごい状態だよ
土足のまま行った方がいいよ
と教えてくれました
父も
何ともいえない気持ちだ
と言っていました
見送りにきてくれた
父に別れを告げ
実家に向かいました
シャッターは開きました
シャッターを閉めると
真っ暗になりました
見ると裏の勝手口のドアも
外されていました
ネズミとかゴキブリがいたら
どうしよう
と思いました
手探りで
2階に行きました
床は汚れて濡れていました
あちこち物が散乱して
棚などが倒れていました
ひどい状態でしたが
思ったほどではありませんでした
はたして
アルバムはあるのだろうか
と思いました
残念ながら
私のアルバムは一冊も
ありませんでした
でも家族の古いアルバムが1冊
残っていたので
それを見つけた時は
とても嬉しくなりました
思い出がたくさん詰まった
実家でした
それが無残な姿を
示していたのを見て
涙が止まらなくなりました
ここで自分は育ち
そして成長することが
できました
この家があったからこそ
今の自分はあると言えます
そう思いましたら
また涙がこみ上げてきました
心から家にありがとう!
と感謝しました
そういたしましたら
昨日から重くのしかかっていた何かが
静かに解けていったように思いました
そして家も喜んでくれている
そんな気がしました
家が私のことを待っていてくれたのだ
と思いました
最後の別れを告げたかったのだ
と思います
私は、実家に呼ばれたのだと
思ったんです
この実家のことは
私の心に永遠に
刻まれるでしょう
私はこの時に
大変畏れ多いこととは
思いますが
御釈迦様の
次のような御言葉を
思い出しました
それは
維摩会仏教哲学の講義で
聞いた内容なのですが
御釈迦さまは
晩年疫病にかかり
御亡くなりになられる前に
あちこち訪れになられた地名を
懐かしそうに
御話になられるんですね
まるで目の前に
御釈迦様がいらして
その御言葉を
仰っているかのようだったんですよ
この講義を聞いた時
涙が滝のように流れていきました
この時の感動を
どうやって伝えたら
お分かりいただけるでしょうか
言葉が見つからなくて
もどかしくてたまりません
この御言葉を思い出し
また涙があふれていきました
本当に人それぞれの
人生がありますね!
私は
いつも贅沢を
好んでしまいました
私の家は決して
裕福な家ではなく
他の裕福な家と比較して
そのことが羨ましい
と思うことがありました
今思うと
こんな自分を
本当に情けなく
思います
私は今は全てに
感謝したい気持ちで
一杯になりました
ただただ有難うございます
ただそれだけを言いたいです
I was called!
私は be動詞で過去形 callは動詞で「呼ぶ」という意味で
ここは過去分詞形で
「呼ばれる」という意味になる
be動詞 + 過去分詞で
「~される」という受け身の意味になる
また、ここではbe動詞が過去形なので
「呼ばれた」の意味になる
I was called!
私は呼ばれた!